2012年12月6日木曜日

コソボ1日目

11月25日 ベオグラード~プリシュティナ

正午にバスに乗り込み、コソボへと向かう。
いつもなら移動は夜行バスで時間と宿代を節約するところだが、トルコからセルビアまでどの国も一国の滞在期間が短く首都しか観光出来ていなかったので、昼間のバス移動で地方の様子も見て回ることにしたのだ。

バスの運行ルート上、主要な街は一つも通らず、窓から見えたのは小さい町ばかりだった。でもそのおかげでセルビアの田舎の風景を存分に味わうことができた。昼間のバス移動を選んで正解だ。
山間の湖の周りにぽつぽつと小さな家が点在する町、渓谷のど真ん中に通された幹線道路の両脇に家が並んでいる町。畑で農作業をする人がいたり、子供が犬と遊んでいたり、ときどき羊飼いの姿なんかも見ることが出来る。そんな風景の中、夕暮れ時に家の煙突から煙が上がる様子は、まさに僕が抱くヨーロッパの田舎のイメージそのものだった。

 
ある国の都会から田舎、田舎から都会へと移動することは、日本から海外に出ることと同じくらいのカルチャーショックを得られるような気がする。
ガイドブックに何の情報も載っていないような田舎に訪れ、何も分からず不安な中でその土地の人々と信頼関係を築き、ときどき彼らの家にお世話になる。そして素朴な生活に心細くなったら都会に行って、その圧倒的な発展度合いに改めて驚き、そしてまた何の情報もない田舎へ。
世界中の国々を駆け巡る今の旅のスタイルも最高に楽しいけれど、いつかヨーロッパで気に入った国を半年くらいかけてゆっくりと回る旅もしてみたいと思った。

コソボの首都プリシュティナに着いた頃、もう辺りはすっかり暗くなっていた。
ひとまずバスターミナル内の露店で適当にファストフードを頬張り、ネットにつながる場所を探す。この時驚いたのは街中WiFiだらけだったことである。
ほとんどの建物からwifiの電波が漏れだしていて、しかもパスワードの必要もないものも多い。そして無料wifiスポットなるものもところどころと置かれている。勝手にコソボのことを何もないド田舎だと思い込んでいた僕にとって、この状況はかなり意外だった。

その後、あらかじめ予約しておいた宿までタクシーで向かう。この宿はプリシュティナでも有名なホステルで、値段の割にとても清潔なところだった。案内された部屋は3ベットの共有部屋だったが、オフシーズンで客が少ないらしく、僕1人でその大きな部屋を占領させてくれた。

その日の夜、コーヒーを飲もうと共同キッチンに行くと、僕と同じくここに滞在する人たちが談笑していた。ドイツ人とスイス人とスウェーデン人で、彼らは皆語学の教師としてコソボに働きに来ているらしい。これはターミナル付近で大量のWifiスポットの存在を知るまでは全く持ち合わせていなかった発想だが、たった10数年前に凄惨な紛争を経験し、つい4年前に国家としての独立を宣言してゼロからのスタートを切ったこの国には、教育のみならず様々な分野にチャンスが転がっているのだろう。
明日のプリシュティナの散策が楽しみになった。
 
 
 

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