2012年12月2日日曜日

ブルガリア2日目

11月22日 ソフィア
 
 
昨夜、一緒に晩酌をしたブルガリア人と、戦闘機の映像やブルガリアのコメディ番組などを延々と見ていて結局寝たのが3時頃だったにもかかわらず、なぜか朝の6時に目が覚めた。
普通なら迷わず二度寝に突入するシチュエーションだったが、おとといの夜からシャワーを浴びていない体が発する異臭によって二度寝の快感を上回る不快さを覚えた僕は、朝シャワーがてら早朝から活動を開始することした。

近くのスーパーで朝食の材料を買って、ついでに朝のソフィアの街をぶらついてみる。
外はとにかく寒かった。そして白い。朝もやで街全体が白みがかっている上に吐く息も寒さで白くなっていた。
街の中心部は早朝なのに意外と人が多かったが、近くの公園まで来ると、まだ人はほとんど見当たらず、白くぼやけた背景に木々だけが静かにたたずむ様子は、昨夜の殺伐とした雰囲気から一転してとても穏やかなものだった。
当たり前だけどここブルガリアは今まで回ってきたどの国よりも緯度が高くて、早くから日が昇って4時を過ぎればもう日は沈みかける。早起きは三文の得というよりは、早く起きて活動を開始しなければビックリするくらい活動時間が短くなってしまう世界だ。
そこらの売店や服屋、雑貨屋など、多くの個人店舗は夜が来る前には店を閉めているし、その時間に街を歩く人は今までの国と比べてかなり少ない。会社で働く人たちはどんな時間帯に働いているのか知らないけれど、個人で仕事をする人はみんな朝型の生活を送っているように見えた。
朝の、少し寒くきりっと身が引き締まる時間帯に仕事をこなし、日が沈む前には仕事を終えて家族や友人との時間をゆっくり楽しむ。僕も可能ならば将来ヨーロッパでそんな生活を送ってみたいと思った。

宿に戻って、無料の朝食を食べ、ブログを更新したりしていると、気づけばもう日が高くなっていた。
再び街へ出て、次は本格的にいろんな場所をうろついてみる。
晴れていたのもあってか、この日のソフィアの街は人通りも多くて全体的に陽気な雰囲気だった。
中心地の歩行者天国では昼間から路上バーで多くの人がお酒を楽しみ、地下鉄の構内では昨日と同じように路上演奏が行われ、公園ではベンチで寄りそう恋人たちや犬の散歩をする人(犬の散歩はこの旅で初めて見た)。
 
この日は木曜日だったのだけど、この街の空気は今日が平日であることを全く感じさせなかった。むしろ旅行者であるはずの僕の方が時間を気にしてあわただしく動いていたくらいだ。
別にブルガリアの労働時間が日本に比べて特段少ないわけでもない。後から調べてみるとむしろ世界的に見れば多い方だった。
だとしたら、この空気感は一体どこからくるのだろう。

その疑問の答えが出ることはなかったが、その後も路地裏の古着屋を冷やかしたり、ソフィア大学へ行って美人といわれる東欧の女性を一目見に行ったり、疲れて教会で休んだり(イスラエル以降すっかりお気に入りの休憩場所になっている)とたった1日のソフィア散策はとても平和に終えることができた。
帰り際にちょっとしたデモがあったのだけど、周りの人たちに何のデモか尋ねると、どうやら喫煙者による喫煙エリアの増加を求めるデモらしい。パレスチナのデモを見た後だからか、なんだかデモのテーマすらも平和に感じてしまった。

夜、宿に預けていたバックパックを受け取り、国際鉄道が発着するセントラルターミナルへ向かう。
ブルガリアの人口密度はソフィアの中心部以外では実感値として物凄く低く、このセントラルターミナルも例外ではない。ブルガリア中のバスと鉄道が一挙に集まる場所だと言うのに、構内にいる全員の顔を軽く覚えられるのではないかと思うくらいの人の少なさだ。
チケットを購入し、指定されたホームたどり着く。
それぞれ500mはあろうかというほどの長さのホームが1~10番までずらっと並んでいる。そして衝撃だったのは、そのだだっ広い空間に僕らを乗せる列車(しかもたったの3両)しか存在しなかったことである。確かに時間は夜の8時で人々の活動時間ではなかったが、とても首都の、それもセントラルターミナルという名を謳う駅の光景には思えなかった。
あれだけの人口密度の低さだ。列車密度の低さも心のどこかできっと想定していたとは思うのだが、これには度肝を抜かれた。
よわよわしい光を放ちながら数少ない乗客を待つその列車に向かって歩きながら、僕はその光景をブルガリアの、いやこれから訪れる東欧諸国のどこか物悲しい雰囲気と重ね合わせていた。
人口も少なく、曇りがちな空、ただの気温の低さとはまた別の、ひんやりとした空気感、そして国際的にそれほど注目されているわけでもなく、経済は縮小の一途をたどり、戦争がその歴史に暗い影を落とす国々。
僕はブルガリアの西側に位置する、セルビア、ボスニアヘルツェゴビナ、モンテネグロなど、旧ユーゴスラビアの国々に対して、いささか勝手な偏見を持ってしまっていた。先の紛争のことを知った時だったか、映画や小説などでそのように表現されていたからなのか、その偏見を持ったきっかけは忘れてしまったけれど、少なくとも僕の東欧諸国に対するイメージはそんな感じだった。
これから訪れる旧ユーゴスラビア首都ベオグラードは、そんな僕の東欧諸国に対する偏ったイメージを思いもよらぬ方向にぶち壊すことになる。
 
 
 
~この日撮った写真~
 
宿の前の通り。

宿の前の通り2。 

右のはほうれんそうのグラタン。美味しくて温まる。

路上バーの様子。ビニールで風除けをしているので内部はとても暖かかった。

休憩場所。





大学付属の図書館のトイレがなぜかおしゃれ。




無料Wifi付き公園。

ベオグラードへ。
 

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