2012年11月18日日曜日

ヨルダン5日目

11月12日 アンマン

朝起きると外は相変わらず今にも降り出しそうな空模様だったが、昨日感じたアンマンの町の魅力を少しでもたくさん味わいたくて、悪天候にもかかわらず朝早くから宿を出た。

午前中はアンマン郊外にあるワヒダットという地域を訪れた。ここはもともとパレスチナ難民キャンプがあった場所で、数十年前、大量のパレスチナ難民がアンマンになだれ込んで治安が悪化していた時代にはここもかなり荒れていたようだが、今はかつての狭い路地などを利用して巨大なスーク(市場)を形成している。
アンマンのランドマークであるアルフセインモスクから出ているバスに乗り込んで、0.75JDでワヒダットまで向かう。アンマンを形作る5つの丘のひとつに登りきったあたりがワヒダットだった。
バスを降りてさっそくスークへ行き、ブラブラとうろついてみる。衣服系はなぜか婦人用のものしか売っていなかった。雨風にさらされて、髪はボサボサに、顔はものすごい形相に変わり果ててしまったマネキンたちが狭い路地の両側に亡霊のように並んでいてなかなか怖い。その上よぼよぼの老人が手招きをしていたりと、なかなかのホラー体験だった。
怖い路地ばかりではなく、若い人たちが経営する店の多い路地もある。彼らは、インドやエジプトのように向こうからしつこく声をかけてくることはあまりないが、ひとたび僕が返事を返すと、満面の笑みで笑いかけてくれ、僕が簡単なアラビア語をしゃべろうものなら、大喜びでコーヒーを飲ませてくれる。僕はヨルダン人のこの絶妙な距離の取り方が本当に好きだ。
野菜スークも回った後、少しスークから外れてみると、学校のある通りに出たようで、沢山の子供たちがちょうど学校が終わって帰るところだった。彼らは旅行者に興味津々で、一度立ち止まって彼らの質問に答えたり写真を撮ったりしていると、たちまち周りは数十人の子供たちでいっぱいになって大騒ぎになる。15歳くらいの少年たちも加わってちょっとした騒動になってしまったところで、それまで近くで笑いながら見ていた大人のヨルダン人たちが僕を連れ出して野菜スークのところまで案内してくれた。

少し疲れたのでバスで一旦宿に戻った。昼食はマンスールホテルの隣の通りにある2JDのレストランで食べた。

午後はまず昨日と同じく古着街に行くことにした。今回は最終日なのでしっかり冬のヨーロッパ用にズボンとコートを買わなければいけない。昨日の靴の時と同じように、すばやくどれを買うか決めて早めに値段交渉に取りかかる。激安で買い物をするには質とかおしゃれとかにあまりこだわってはいけないのだけど、いかんせんあのヨーロッパのハイセンスな街並みに溶け込める服は激安店にはあまりおいておらず、仕方なく少しこぎれいな店で選ぶことにした。気に入ったコートとジーンズを選び、例の交渉術を今日も実践したけど今回も「63JD→48JD」という不本意な結果に終わった。値切りのセンスは多分ないと思う。

自分の交渉センスのなさに落ち込む僕の気持ちとは裏腹に、空はどんどん雲が少なくなって、丘の斜面に連なる土色の家々が黄色に輝きだしていた。

買った服を宿に置いた後、これまた5つの丘のひとつ、ジャバル・アンマンという場所へ歩いて行った。ここはアンマンの高級住宅街で、ヨーロッパのような街並みにヨーロッパのようにおしゃれなカフェが立ち並ぶ。道もダウンタウンに比べて綺麗に清掃されていて、心地よく散策できる。アンマンの代官山といったところだ。
このアンマンの代官山のような場所に代官山蔦谷書店のようなブック&カフェがあり、そこに行ってみた。1階はさまざまなジャンルの洋書が壁一面に敷き詰められた本屋。2階はこの旅の中で一二を争うほどのおしゃれなカフェである。このカフェは在ヨルダン外国人やヨルダン人ビジネスマンの情報交換の場所となっていて、店内で話されている言語はほとんどが英語だ。
ヨルダン人を含めた多国籍なメンバーで英語を話していたりする。
旅をしていると宿などでいろんな国から来た人たちと集まって話すことがあって、その時感じるのは決まって彼らの英語力と自分のそれとの間にある途方もないレベルの差と、羨ましさだ。
僕がグループの中の一人と簡単な情報(出身、仕事、今まで行った国など)を交換する間に、別のメンバーは相手の国の文化やその人の仕事の詳細な内容、その人の考えていることなど、本当に膨大な量の情報を交換している。その膨大な情報がどれだけ自分の中に変化をもたらすものなのかは経験したことがないから分からないけど、単純にうらやましい。
前者のようにレベルの差を感じたときは、悔しいから勉強を頑張りたいという感情はもちろんあるが、どこかもう英語を放り出したくなるような感情も含まれている。でも羨ましさを感じた時は純粋に英語学習へのモチベーションが上がっている気がする。
そして最近、羨ましさが占める比率が上がってきた。これからヨーロッパに入るこのタイミングでそうなってきて良かった。

日が暮れ始めたので、カフェを出て宿へと向かう。中東の街は土色の家が多いからか、夕暮れ時は夕日に照らされた家々がとても綺麗に映る。さらに丘の上から別の丘を見下ろしながら歩く帰り道は最高だった。アンマンの二日間は人々と街並みにとことん魅了された日々となった。

~この日撮った写真~

婦人服屋の店員さん。後ろのマネキンが怖い。

彼らが入れてくれたコーヒー。アラビアコーヒーは粉状になった豆がコーヒーの中にごっそり入っていて、そこに砂糖を大量に入れているので、わけのわからない味になっている。



野菜スーク。



麻薬勧めてきたかと思ってめっちゃ焦ったけど、街中にこれを扱う店があったので多分違うと思う。

ワヒダットの路地裏と少女

晴れてきた。

高級住宅街ジャバルアンマンからの景色。



ブック&カフェの入口

2階のカフェ。スカーフを巻く女性は一人もおらず。

1階の本屋。

ジャバルアンマンから見降ろすアンマンの街並み。

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